八戸うみねこ紀行 part II
2003年3月16日「八戸うみねこ紀行」2日目。
5時半に起き、八戸線の2番列車で鮫に向かう。途中の陸奥湊駅に「日曜新鮮市」の幟がひらひらしている。ちょっと寄ってみてもいいかな?などと思う間も無く、列車はすぐに発車。早朝の列車は放浪者の気迷いを待ってくれない。列車はそのままゆるゆると走り、6:03、鮫に到着。驚いたことに八戸線ではまだタブレットを使っているらしい。タブレット交換のシーンを写真に収めようとしたのだけれど、またしてもDiMAGE 7iのシャッターが落ちずに撮り損なう。つくづく肝心なところで使えないカメラだと思う。
鮫駅から歩いて10分足らずで、ウミネコ繁殖地で知られる蕪島へ。八戸周辺では恐らく最も有名な観光地であり、それゆえに本来の島の姿を知ろうと思えば観光客の来ない早朝しかないだろうと思ってこの時間に来てみたのだけれど、これが大正解。予想通り周辺には釣り客の車ぐらいしか停まっておらず、ひと気が殆ど無い。ひと気は無いのだけれど、対するウミネコは恐ろしい程の数で、1対数万という圧倒的な数の差を身を以って感じる。僅か数十センチ間隔で島中をウミネコが埋め尽くしている様は、鳥恐怖症の人ならば即刻卒倒しそうな迫力。ここではウミネコが主で人間は従。あなたがたの繁殖地にちょっとお邪魔させていただきますよ、という感じでこっそりとウミネコの聖域に入らせていただく。こちらが近づいても物怖じもしないヤツも中には居て、結構神経が太いもんだなと少しく感心。
蕪島を発ち、県道1号・八戸階上線を南下する。県道1号線というからには高規格道路を想像していたのだけれど、これが結構細い上に交通量もそこそこあって、なかなか歩きにくい。車のほうも歩行者の存在が前提に入っていないような運転をしてくるし、歩く方はなかなか気を使う。暫く進んで右手の白亜の鮫角灯台が見えてくると程無く葦毛崎展望台へ。太平洋をぐるりと見渡せるこの岬、眺望が実に素晴らしい。その眺望ゆえか太平洋戦争では日本軍が砲台を設けたこともあったらしい。ここは種差海岸遊歩道の入口でもあり、ここから約5.2kmに渡って遊歩道が整備されている。昨日、八戸観光協会で聞いた話では残雪が凄くてとても歩けないということだったのだけれど、実際に見てみると積雪はそれほど酷くも無い。エスケープルートとして県道1号線は確保出来ているのだし、行けるところまで行ってみようと遊歩道に足を踏み入れる。海岸沿いの岩場の間に設けられた遊歩道は、積雪や凍結の箇所も数多くあったけれど、特に歩けない程のことも無し。この遊歩道は県道と違ってずっと海岸線を辿っていくので、種差海岸をフルに満喫出来るのがいい。無論、県道の所々に駐車スペースがあって、所々から景色を眺めることは出来なくもないけれど、それではとてもこの海岸の魅力は分からない。この遊歩道、距離も然程でも無いし、アップダウンも殆ど無いし、ゆっくり散策しても2時間も掛からない訳であって、是非とも歩いてみていただきたい。
波のうねりや風を感じながら、誰もいない散策路を歩く。夏ならば混雑するだろう海水浴場や、網の手入れに余念が無い小さな漁港を2つも抜けたりする。見事な松林が続く「淀の松原」、そして松の木々の間から顔を覗かせる白いモニュメントのような海鵜の繁殖地・白岩(しろいわ)。奇岩が続く海岸線に沿う松林を抜けると、突然眼前に種差天然芝生地のだだっ広い空間が一気に広がる。陰から陽への突然の転換。生憎、芝生地の殆どは雪で覆われていて、寝転がってのんびりとはいかなかったのが少々残念。地元の子供が斜面を使って橇遊びに興じていたのが微笑ましい。
八戸線の種差海岸まではすぐなのだけれど、このまま駅に向かっても列車は上りも下りもまだまだ来ない。そこで県道沿いにもう一駅分歩いてみることに。途中、高岩展望台なる景勝地があるのだけれど、ここからの眺望は残念ながら葦毛崎展望台には遠く及ばない。車も地元のものばかりになって、展望台があっても誰も上ってこない。八戸線の大久喜から大蛇まで下り列車に乗り、暫く待って上りの八戸行きで折り返す。車内は如何にもな鉄道ファンがかなりを占めていて、ちょっと独特な雰囲気になっている。昔の自分もこんな感じだったのかな?などと思ってみたりもする。
本八戸で降り、市内中心部の三日町まで歩いて3系統舘花下(たてはなした)経由旭ヶ丘営業所行きのバスに乗り、3つ目の市民センター前で降りる。お目当ては青森で1・2というレベルを誇ると言われる洋菓子店「ル・スゥブラン」。洒落た明るい内装の店内には美味しそうなケーキが沢山。この店自慢の「たまごロール」に焼き菓子数点を押さえてから、店内の喫茶エリアで一休み。紅茶はダージリン・オカイティ農園のものがポットサービスで650円。ケーキ1品とセットにすると900円なのでタルト・フレーズを選ぶ。加えて半熟プリンもいただく。甘さは少々強めのちょっぴりヨーロッパ仕様だけれど、これはなかなかハイレベルではないかと。八戸中心街からはちょっと離れていて、車がないとちょっと行くのは大変ではあるけれど、機会があれば是非。後でいただいた「たまごロール」は確かに絶品だったかと。
偶然来た本八戸行きのバスに乗り、JRで八戸に向かう。この列車はデッキまで満席で、恐らくその殆どが「JR東日本パス」利用者ではなかったか。八戸到着は3分遅れの14:47。大急ぎでユートリーまで走り、「おつゆせんべい」2袋をすぐさまレジに持っていって、再び新幹線ホームに走る。私にしては珍しく「走った」おかげで、予定していた14:55発「はやて20号」の発車3分前には乗り込みに成功。息をつく間も無く列車は八戸駅を滑るように出発。今回の乗り継ぎは流石に少々際疾かったかも知れない。
盛岡で一旦降りて、駅前の「ぴょんぴょん舎」で盛岡冷麺(特辛)と古代米石焼ビビンパをいただく。この店は随分前からのお気に入りで、盛岡で乗換時間の余裕があれば必ず寄っている。今日も美味しくいただいて、十二分に満足気分。駅に戻って土産物店を冷やかしていると、岩手の酒類を専門に売る店があって、日本酒は勿論、地ビールも各種取り揃えている。遠野麦酒「クリスタル・ヴァイツェン」、平庭高原麦酒「ペールエール」に加えてお気に入りのいわて蔵麦酒「レッドエール」の計3本を購入。
盛岡からの「Maxやまびこ64号」も満席状態。車両の多い新幹線がこれでは、仙台から乗り継ぐ常磐線特急の混雑さ加減が気になるところ。仙台駅では20分弱の乗換時間しか無く、ここでも走ったのだけれど、ホームには既にかなりの長蛇の列が。ここでも辛くも席を押さえることに成功はしたのだけれど、この列車がここまで混んでいるのを見るのは初めてかと。混んでいるのも道理、仙台から東京へ向かう新幹線が軒並み凄まじい乗車率になっているので、時間が掛かってもいいから上野まで乗っていこうという「JR東日本パス」利用者がかなりいた為らしい。
最寄駅に着くと激しい雨が。今回の旅は好天には恵まれなかったけれど、少なくとも旅の途中、雨に見舞われなかったことだけは幸いだったかと思う。
5時半に起き、八戸線の2番列車で鮫に向かう。途中の陸奥湊駅に「日曜新鮮市」の幟がひらひらしている。ちょっと寄ってみてもいいかな?などと思う間も無く、列車はすぐに発車。早朝の列車は放浪者の気迷いを待ってくれない。列車はそのままゆるゆると走り、6:03、鮫に到着。驚いたことに八戸線ではまだタブレットを使っているらしい。タブレット交換のシーンを写真に収めようとしたのだけれど、またしてもDiMAGE 7iのシャッターが落ちずに撮り損なう。つくづく肝心なところで使えないカメラだと思う。
鮫駅から歩いて10分足らずで、ウミネコ繁殖地で知られる蕪島へ。八戸周辺では恐らく最も有名な観光地であり、それゆえに本来の島の姿を知ろうと思えば観光客の来ない早朝しかないだろうと思ってこの時間に来てみたのだけれど、これが大正解。予想通り周辺には釣り客の車ぐらいしか停まっておらず、ひと気が殆ど無い。ひと気は無いのだけれど、対するウミネコは恐ろしい程の数で、1対数万という圧倒的な数の差を身を以って感じる。僅か数十センチ間隔で島中をウミネコが埋め尽くしている様は、鳥恐怖症の人ならば即刻卒倒しそうな迫力。ここではウミネコが主で人間は従。あなたがたの繁殖地にちょっとお邪魔させていただきますよ、という感じでこっそりとウミネコの聖域に入らせていただく。こちらが近づいても物怖じもしないヤツも中には居て、結構神経が太いもんだなと少しく感心。
蕪島を発ち、県道1号・八戸階上線を南下する。県道1号線というからには高規格道路を想像していたのだけれど、これが結構細い上に交通量もそこそこあって、なかなか歩きにくい。車のほうも歩行者の存在が前提に入っていないような運転をしてくるし、歩く方はなかなか気を使う。暫く進んで右手の白亜の鮫角灯台が見えてくると程無く葦毛崎展望台へ。太平洋をぐるりと見渡せるこの岬、眺望が実に素晴らしい。その眺望ゆえか太平洋戦争では日本軍が砲台を設けたこともあったらしい。ここは種差海岸遊歩道の入口でもあり、ここから約5.2kmに渡って遊歩道が整備されている。昨日、八戸観光協会で聞いた話では残雪が凄くてとても歩けないということだったのだけれど、実際に見てみると積雪はそれほど酷くも無い。エスケープルートとして県道1号線は確保出来ているのだし、行けるところまで行ってみようと遊歩道に足を踏み入れる。海岸沿いの岩場の間に設けられた遊歩道は、積雪や凍結の箇所も数多くあったけれど、特に歩けない程のことも無し。この遊歩道は県道と違ってずっと海岸線を辿っていくので、種差海岸をフルに満喫出来るのがいい。無論、県道の所々に駐車スペースがあって、所々から景色を眺めることは出来なくもないけれど、それではとてもこの海岸の魅力は分からない。この遊歩道、距離も然程でも無いし、アップダウンも殆ど無いし、ゆっくり散策しても2時間も掛からない訳であって、是非とも歩いてみていただきたい。
波のうねりや風を感じながら、誰もいない散策路を歩く。夏ならば混雑するだろう海水浴場や、網の手入れに余念が無い小さな漁港を2つも抜けたりする。見事な松林が続く「淀の松原」、そして松の木々の間から顔を覗かせる白いモニュメントのような海鵜の繁殖地・白岩(しろいわ)。奇岩が続く海岸線に沿う松林を抜けると、突然眼前に種差天然芝生地のだだっ広い空間が一気に広がる。陰から陽への突然の転換。生憎、芝生地の殆どは雪で覆われていて、寝転がってのんびりとはいかなかったのが少々残念。地元の子供が斜面を使って橇遊びに興じていたのが微笑ましい。
八戸線の種差海岸まではすぐなのだけれど、このまま駅に向かっても列車は上りも下りもまだまだ来ない。そこで県道沿いにもう一駅分歩いてみることに。途中、高岩展望台なる景勝地があるのだけれど、ここからの眺望は残念ながら葦毛崎展望台には遠く及ばない。車も地元のものばかりになって、展望台があっても誰も上ってこない。八戸線の大久喜から大蛇まで下り列車に乗り、暫く待って上りの八戸行きで折り返す。車内は如何にもな鉄道ファンがかなりを占めていて、ちょっと独特な雰囲気になっている。昔の自分もこんな感じだったのかな?などと思ってみたりもする。
本八戸で降り、市内中心部の三日町まで歩いて3系統舘花下(たてはなした)経由旭ヶ丘営業所行きのバスに乗り、3つ目の市民センター前で降りる。お目当ては青森で1・2というレベルを誇ると言われる洋菓子店「ル・スゥブラン」。洒落た明るい内装の店内には美味しそうなケーキが沢山。この店自慢の「たまごロール」に焼き菓子数点を押さえてから、店内の喫茶エリアで一休み。紅茶はダージリン・オカイティ農園のものがポットサービスで650円。ケーキ1品とセットにすると900円なのでタルト・フレーズを選ぶ。加えて半熟プリンもいただく。甘さは少々強めのちょっぴりヨーロッパ仕様だけれど、これはなかなかハイレベルではないかと。八戸中心街からはちょっと離れていて、車がないとちょっと行くのは大変ではあるけれど、機会があれば是非。後でいただいた「たまごロール」は確かに絶品だったかと。
偶然来た本八戸行きのバスに乗り、JRで八戸に向かう。この列車はデッキまで満席で、恐らくその殆どが「JR東日本パス」利用者ではなかったか。八戸到着は3分遅れの14:47。大急ぎでユートリーまで走り、「おつゆせんべい」2袋をすぐさまレジに持っていって、再び新幹線ホームに走る。私にしては珍しく「走った」おかげで、予定していた14:55発「はやて20号」の発車3分前には乗り込みに成功。息をつく間も無く列車は八戸駅を滑るように出発。今回の乗り継ぎは流石に少々際疾かったかも知れない。
盛岡で一旦降りて、駅前の「ぴょんぴょん舎」で盛岡冷麺(特辛)と古代米石焼ビビンパをいただく。この店は随分前からのお気に入りで、盛岡で乗換時間の余裕があれば必ず寄っている。今日も美味しくいただいて、十二分に満足気分。駅に戻って土産物店を冷やかしていると、岩手の酒類を専門に売る店があって、日本酒は勿論、地ビールも各種取り揃えている。遠野麦酒「クリスタル・ヴァイツェン」、平庭高原麦酒「ペールエール」に加えてお気に入りのいわて蔵麦酒「レッドエール」の計3本を購入。
盛岡からの「Maxやまびこ64号」も満席状態。車両の多い新幹線がこれでは、仙台から乗り継ぐ常磐線特急の混雑さ加減が気になるところ。仙台駅では20分弱の乗換時間しか無く、ここでも走ったのだけれど、ホームには既にかなりの長蛇の列が。ここでも辛くも席を押さえることに成功はしたのだけれど、この列車がここまで混んでいるのを見るのは初めてかと。混んでいるのも道理、仙台から東京へ向かう新幹線が軒並み凄まじい乗車率になっているので、時間が掛かってもいいから上野まで乗っていこうという「JR東日本パス」利用者がかなりいた為らしい。
最寄駅に着くと激しい雨が。今回の旅は好天には恵まれなかったけれど、少なくとも旅の途中、雨に見舞われなかったことだけは幸いだったかと思う。
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