大杉谷〜大台ヶ原・伊賀紀行1日目 / 大杉谷 (1)
2003年7月31日★「ムーンライトながら91」を名古屋で降り、亀山、多気乗り継ぎで三瀬谷下車。ここより宮川村営バス・大杉行きに乗車。念の為にバスの運転手に遊覧船が何処まで行くのか聞いてみたところ、わざわざ電話を掛けて確認してくれる。親切なことである。が、遊覧船乗り場らしきところから返ってきたのは「第4乗船場」とのこと。バスの終点・大杉からの遊覧船は、大杉谷への登山口である発電所から下流側に向かって第1、第2と乗船場が並んでいて、第4と言うのは最も下流側の乗船場になる。第4までしか行けないということは、それだけダムの水位が下がっているということらしい。1名がそちらに向かうという連絡もしてくれるのだが、公共交通機関を使って大杉谷を遡上しようとすると、事実上このバスを使うしか手は無く、8月の最中というのにまさか登山者は一人なのかと少々不安を感じる。
バス1台がやっとという道をひたすら走り、漸く宮川ダム湖が見えたと思うと、終点・大杉に到着。バス停の前には「大杉谷自然の家」というのがあり、そこで登山計画書を提出することになっている。記入しながらふと近くの貼り紙を見ると、宮川ダム改良工事の為、水位がかなり下がっていて、登山者は最下流の第4乗船場よりも更に下流1.3kmに設けられた臨時の第5乗船場を利用くださいとある。これから見るに、今日第4まで行けるというのは比較的幸運なことだったらしい。登山ルートに入る前に、舗装林道とは言え5kmも歩かされたのでは堪らない。1.3kmでも距離を稼げたのは嬉しい次第。
蒼い湖面と緑の木々を眺めながら、のんびりと船旅。湖面に接した法面は白っぽい岩肌が露出していて、その露出具合から水位の下がり方が見て取れる。恐らくは通常水位よりも1.5〜2mは下がっているのだろう、これでは上流部まで行けないのも道理と納得する。船は1220頃に粗末な桟橋の第4乗船場に到着。岩塗れの階段を上って林道に出、道なりに歩き始める。約12分程で第3乗船場到着。すぐ近くに「六十尋滝(ろくじゅうひろたき)」なる滝があるのでこれを見学する。13:28に漸く発電所に到着。発電所の脇を抜けたところが登山口で、ここで装備を整え、いよいよ念願の大杉谷に挑戦することになる。
登山道に入るといきなり大岩をコの字型に抉った場所に差し掛かる。道幅は1m弱だが、崖側はほぼ垂直に落ち込んでいて、誤って転落すると110m下まで直行というところである。ここが「大日グラ」と呼ばれている所で、「グラ」とはこの地方独特の表現で、大きな岩の意。右手の鎖を持ちつつ何とか抜けると、長さ16.5mの大日グラ吊橋を渡る。
小さなアップダウンを繰り返しながら、能谷、地獄谷を吊橋で渡り、京良谷出合を山あいに高巻いて越える。岩場を削って作ったらしい狭い道幅の登山道が続く。側面には鎖が連なっていて、きちんとこれを持ちながら歩かないと、数十メートル転落の恐れがある。事実、この付近で転落死亡事故が多発しているとのこと。ここを過ぎると60mもの長さの日浦杉吊橋を渡る。ここ大杉谷は日本一の大豪雨地帯として知られていて、それと言うのも熊野灘から僅か20km程度の位置に1700m近い山とそこから延びる谷がある為、高湿度の空気が山の斜面に沿って上昇流を成しているからなのだけれど、斯様な多雨地帯だけあってこの大杉谷に流れ込んでくる滝や川はかなりの数にのぼる。登山道は小沢ならばそのまま突っ切ってしまうけれど、有る程度大きくなるとそういう訳にもいかない。中規模の沢なら回り込み、大規模な沢なら高巻きで越える。無論、最大規模のものは吊橋で渡るのだが。そういう次第でこの登山道、地図で見れば真っ直ぐで平坦な道に見えるのだけれど、等高線丁度1つ分・20m程度のアップダウンが何度も繰り返されていて、思いの外に気力と体力を削がれてしまう。
水越出合の急な高巻を越えると、滝の音が聞こえてきて、対岸遥か頭上から数段に渡って落下してくる優雅な滝が視界に入ってくる。落差135m、大杉谷最大の滝・千尋(せんひろ)滝である。展望所が設けられているので、そこで暫し休憩。今回ここ大杉谷を訪ねた最大の理由の1つに、点在する数々の滝を眺めてみたかったというのがあるのだけれど、最初からこれだけの大物だと満足度も倍増である。ヤマビルがザックを上ってこようとするが、予め噴霧しておいた虫除けに阻まれて敢無く落下する。
再び小さなアップダウンを繰り返しながら上流へ進む。土砂崩れ跡を一際大きく高巻いた後、無数の巨岩で埋め尽くされた河原を進む。増水時には相当な注意が必要だろう。河原を進んでいるうちに、そこから先に繋がる深い碧の色を湛えた淵と、淵の両側を形成する切り立った2枚の岩盤の間から大きな滝が見えてくる。シシ淵とニコニコ滝である。楽しそうな名称の割には、この付近は大杉谷でも最も死亡事故率が高いらしい。見惚れるような風景と足元の不安定さを勘案すると、成程と思う。
平等グラ吊橋を渡って、宮川の対岸に出る。加茂助吊橋で沢を渡り、対岸に巨岩・平等グラを眺める。ここより林間の高みを通過し、周囲が薄暗くなってきた18時ごろ、漸く対岸に赤い屋根の意外と大きな山小屋がが姿を見せる。桃の木吊橋で再び宮川の対岸に渡り、本日の宿泊地・桃の木山の家に到着。素朴な山小屋である。
バス1台がやっとという道をひたすら走り、漸く宮川ダム湖が見えたと思うと、終点・大杉に到着。バス停の前には「大杉谷自然の家」というのがあり、そこで登山計画書を提出することになっている。記入しながらふと近くの貼り紙を見ると、宮川ダム改良工事の為、水位がかなり下がっていて、登山者は最下流の第4乗船場よりも更に下流1.3kmに設けられた臨時の第5乗船場を利用くださいとある。これから見るに、今日第4まで行けるというのは比較的幸運なことだったらしい。登山ルートに入る前に、舗装林道とは言え5kmも歩かされたのでは堪らない。1.3kmでも距離を稼げたのは嬉しい次第。
蒼い湖面と緑の木々を眺めながら、のんびりと船旅。湖面に接した法面は白っぽい岩肌が露出していて、その露出具合から水位の下がり方が見て取れる。恐らくは通常水位よりも1.5〜2mは下がっているのだろう、これでは上流部まで行けないのも道理と納得する。船は1220頃に粗末な桟橋の第4乗船場に到着。岩塗れの階段を上って林道に出、道なりに歩き始める。約12分程で第3乗船場到着。すぐ近くに「六十尋滝(ろくじゅうひろたき)」なる滝があるのでこれを見学する。13:28に漸く発電所に到着。発電所の脇を抜けたところが登山口で、ここで装備を整え、いよいよ念願の大杉谷に挑戦することになる。
登山道に入るといきなり大岩をコの字型に抉った場所に差し掛かる。道幅は1m弱だが、崖側はほぼ垂直に落ち込んでいて、誤って転落すると110m下まで直行というところである。ここが「大日グラ」と呼ばれている所で、「グラ」とはこの地方独特の表現で、大きな岩の意。右手の鎖を持ちつつ何とか抜けると、長さ16.5mの大日グラ吊橋を渡る。
小さなアップダウンを繰り返しながら、能谷、地獄谷を吊橋で渡り、京良谷出合を山あいに高巻いて越える。岩場を削って作ったらしい狭い道幅の登山道が続く。側面には鎖が連なっていて、きちんとこれを持ちながら歩かないと、数十メートル転落の恐れがある。事実、この付近で転落死亡事故が多発しているとのこと。ここを過ぎると60mもの長さの日浦杉吊橋を渡る。ここ大杉谷は日本一の大豪雨地帯として知られていて、それと言うのも熊野灘から僅か20km程度の位置に1700m近い山とそこから延びる谷がある為、高湿度の空気が山の斜面に沿って上昇流を成しているからなのだけれど、斯様な多雨地帯だけあってこの大杉谷に流れ込んでくる滝や川はかなりの数にのぼる。登山道は小沢ならばそのまま突っ切ってしまうけれど、有る程度大きくなるとそういう訳にもいかない。中規模の沢なら回り込み、大規模な沢なら高巻きで越える。無論、最大規模のものは吊橋で渡るのだが。そういう次第でこの登山道、地図で見れば真っ直ぐで平坦な道に見えるのだけれど、等高線丁度1つ分・20m程度のアップダウンが何度も繰り返されていて、思いの外に気力と体力を削がれてしまう。
水越出合の急な高巻を越えると、滝の音が聞こえてきて、対岸遥か頭上から数段に渡って落下してくる優雅な滝が視界に入ってくる。落差135m、大杉谷最大の滝・千尋(せんひろ)滝である。展望所が設けられているので、そこで暫し休憩。今回ここ大杉谷を訪ねた最大の理由の1つに、点在する数々の滝を眺めてみたかったというのがあるのだけれど、最初からこれだけの大物だと満足度も倍増である。ヤマビルがザックを上ってこようとするが、予め噴霧しておいた虫除けに阻まれて敢無く落下する。
再び小さなアップダウンを繰り返しながら上流へ進む。土砂崩れ跡を一際大きく高巻いた後、無数の巨岩で埋め尽くされた河原を進む。増水時には相当な注意が必要だろう。河原を進んでいるうちに、そこから先に繋がる深い碧の色を湛えた淵と、淵の両側を形成する切り立った2枚の岩盤の間から大きな滝が見えてくる。シシ淵とニコニコ滝である。楽しそうな名称の割には、この付近は大杉谷でも最も死亡事故率が高いらしい。見惚れるような風景と足元の不安定さを勘案すると、成程と思う。
平等グラ吊橋を渡って、宮川の対岸に出る。加茂助吊橋で沢を渡り、対岸に巨岩・平等グラを眺める。ここより林間の高みを通過し、周囲が薄暗くなってきた18時ごろ、漸く対岸に赤い屋根の意外と大きな山小屋がが姿を見せる。桃の木吊橋で再び宮川の対岸に渡り、本日の宿泊地・桃の木山の家に到着。素朴な山小屋である。
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